◆ 単一茶園(シングルエステート)の紅茶とは?

シングルエステートとは、「単一茶園、「単一農園」を意味します。
つまり、ひとつの茶園で作られたお茶だけでパッケージされたもので、他の茶園のお茶とブレンドをしていないものです。

ラベルでは、「茶園名+ティーエステート(例:キャッスルトン T.E.)」「茶園名+ティーガーデン」(例:グームティー T.G.)」などと記されます。
単に、茶園名のみで書かれる場合もあります。
茶園のことを、スリランカでは「エステート」、インドでは「ガーデン」と呼ぶ傾向にありますが、どちらも同じ意味です。

通常、ダージリン紅茶といわれるものは、ダージリン地方でとれたお茶のことを指しています。
どこの茶園で作られているお茶か、どこの茶園のどのグレードのものをブレンドしているのかなど、わからない場合が大部分です。
(同じように、アッサム紅茶であれば、アッサム地方のどこかの茶園でとれたお茶を指します)

それは、紅茶というものは農作物ですので、その年や時期、製造工程によっても、風味の異なるものができます。
お茶のメーカーにとっては、製品(銘柄)として、通年で同じような風味のお茶を提供することが求められます。
また、メーカーなりの特徴や、新しい商品を作り出すことを目的としたブレンドも行われます。
それはそれで、素晴らしいことと思います。


さて、それでは、「シングルエステート」の良さとは何なのでしょうか?

それはもう、茶園ごとに、明らかに違った味わいが楽しめる、ということにあります。
ただしそれは、シングルエステートのままでも通用する、ブレンドしなくても美味しく飲める、
単体で品質の高い紅茶であることが前提となります。
特に紅茶が大好きな方は、このような本来のシングルエステートの紅茶を好む傾向にあると感じます。

その茶園ごとの個性的な味わいは、大変に魅力的で、こうも違うのかと驚かれることと思います。
その日の気分によって、使い分ける楽しみ方もあります。
このような「シングルエステート」の紅茶を体験し、紅茶に目覚めるきかっけとなった、という方に、何人も出会ってきました。

初めての方は、是非一度、「シングルエステート」の茶葉本来の味をお試しください!
きっと新しい紅茶の世界が拓けるものと思います。


(例)ダージリン「シングルエステート」

ダージリンは北インド、ヒマラヤ山麓2,300メートルの高地にあり、世界に冠たる「ダージリン・ティー」の産地として有名です。



ダージリンの茶園は、海抜500〜2,000メートルの山頂に至る険しい山の斜面にあります。ダージリン茶園は高地にあり、日中の高温と夜間の低温との温度差が大きいので谷底から霧が発生し、茶園を覆うように上昇して行きます。この白い霧が比類なき香りの「ダージリン・フレーバー」を生成するといわれています。ダージリンには約90の茶園があり、総栽培面積は19,000ヘクタール、年間総生産量は約10,000〜12,000トンです。

茶の生産は3〜11月にかけて行われ、12〜2月までの厳寒期はお休みとなります。
ダージリン茶には年3回のクォリティー・シーズンがあり、3〜4月にかけて生産されるお茶をファースト・フラッシュ (1番茶:春茶) 、5〜6月にかけて生産されるお茶をセカンド・フラッシュ (2番茶:夏茶) 、10 〜11月にかけて生産されるお茶をオータムナル・フラッシュ (4番茶:秋茶)と呼びます。
(7月〜9月にかけて生産されるお茶をサード・フラッシュ(3番茶)と呼びます。ダージリンにモンスーンが訪れ、雨季となります。茶は湿気を多く含むので、外観は黒色の物が多く、味、香りとも、一般的なものとなります)